Twitter300字SS「神様の複雑」「門番の苦悩」

2015/07/04 21:00 □ 短編・ショートショート

Twitter300字SS お題「願い」

ジャンル : オリジナル。ひとつは昔書いた掌編の番外編?



—–

 

『神様の複雑』

 

 君の願いを叶えてあげる。

 全知全能のこの僕が。

 

 髪飾りが欲しい?

 ダメ。僕は未来も見えるんだ。

 そんなの三日後に君のパパが叶えてくれるから。

 

 お菓子屋さんになりたい?

 ダメダメ。

 それは十五年後、君が勝手に叶えちゃうんだ。

 

 は? 水が飲みたい?

 ほら、あそこに水飲み場があるよ。

 

 結局なんにも叶えないんじゃないかって?

 だってくだらないことばっかだし。

 僕がその気になれば世界だって滅ぼせるのに。

 大人しくしてるのを褒めてほしい…よ?

 

 

 突然頭に乗っかったのは少女の手。

 

 じゃあ、 私が褒めてあげるね、 と。

 

 僕ともあろう者が、こんな幼子に願いを叶えてもらうとは。

 ふてくされる僕に、無邪気に笑ってみせた少女の手のひらは、随分と心地よかった。

 

—–

 

『門番の苦悩』

 

「ここですか、例の門は」

 訪ねてきたのは一人の男。

 その声は穏やかで、けれど生気がない。

 よく来るタイプの死にたがり。

 

 男は門を見る。

 向こう側へ行けるのは死んだ者だけ。

 そのまなざしは遠く。

 

――面倒だ。

 勝手にしろとナイフを投げる。

 

 ほんの少しの躊躇の後、男は胸を刺し貫いた。

 

 

「……死ねない?」

「だろうな」

 

「誰です?」

 いつの間にか戻ってきていた相棒が、自分の頭を小脇に抱えて尋ねる。

 

「お前と一緒」

「あぁ、早く死ねたらいいですね、お互い」

 

 ここに来て以来毎日死に方を聞いてくる少年。

 いい加減消えろとうっかり願ってしまったら、なんと増えた。

 

 ここはあの世とこの世を繋ぐ門。

 この糞ゲートは絶対に、人の願いを叶えることはない。

 

———-

 

頑張ったけど今回はちょっと出来が悪い感じ。悔しい……

先に出来たのは門番のほう。あまりにもネタが思いつかないので、懐かしのGatekeeperをひっぱりだしてみたら、変なのが増殖してしまったとさ。

 

ということで、オフライン企画、300字SSポストカードラリー もよろしくお願いします! (華麗なる宣伝


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