Twitter300字SS「祖母の薬を」「Stalking」

2018/11/03 22:56 □ 短編・ショートショート

Twitter300字SS お題「霧」

ジャンル : オリジナル



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『祖母の薬を』


「…何してんの?」

 霧深い夜。
 帰ってくるなり台所に立ったルームメイトは、鞄の中からいそいそとそれらを取り出した。

「最近肩こり酷くて」

 そう言って、祖母に教えてもらったという薬を作り始めた。

 並べられた材料。
 塩とミントの葉と…

「これとこれは?」
「桃の種の中身とジュズダマ」

 懐かしいよねと笑いながら、彼女はそれらを適当に鍋に入れ、煮込み始める。

 漢方?
 民間療法?
 どんな味なの…?

 眉をひそめている間に薬は完成した。


 そんなんでよくならないよ。だって。


 彼女には見えていない。
 肩に憑いた黒い影を眺める無力な私。
 その目の前で。


 シュッ


 霧吹きに移された薬が影に命中した。


「これよく効くんだよね」


 …うん。
 で、あんたの祖母、何者?

 

—–


『Stalking』



 繁華街を抜けると道は一気に暗くなった。
 街灯の光が濃い霧に反射して、自らの輪郭をあやふやにしている。

 マンションまで百メートルほど。
 ここだけは田んぼど真ん中の何もないところを通らなければいけなかった。


 何度目だろう。
 微かに聞こえた足音に心臓が跳ねる。


 居る。


 深呼吸をして歩を進める。
 振り返ってはいけない。
 まだここにいたいなら、これ以上関わってはいけない。


 オートロックのエントランスを抜け、エレベーターから外の様子を覗う。
 闇の中、霧がゆらりと嘲った。

 覚えた安堵は油断になる。
 潜伏していたストーカーはドアを開けた瞬間、部屋に侵入した。


 犯人の洗脳は凄まじく、奴隷となった被害者は現在、
 猫と暮らせる物件を探している。



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『祖母の薬を』意外と飲んでも効くかもしれない。

『Stalking』は読めたかなって感じですが安定の猫オチです。洗脳されたい!!


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