「牛」 (改稿前)

2005/08/30 00:05 □ 短編・ショートショート

※閲覧注意。直接表現はないですが少々グロいです。

 

 

「こら!寝ながら食べるのやめなさい!」

 ママは言いました。

「まぁくん!牛になっちゃうわよ」

「牛になったら寝てくらすもん。いいよぉだ」

 まぁくんは言うことをききません。

 そしてまぁくんはそのまま眠ってしまいました。

 朝になって目を覚ますと、ママがまぁくんの顔を不思議そうにのぞき込んでいました。

「おはよう、ママ」

 ママは答えません。不思議そうな顔のまま、パパに話しかけました。

「ねえ、パパ」

「なんだい?」

「どうしてこんなところに牛がいるのかしら」

「うし? なんのこと? ママ」

 まぁくんがたずねてもママは答えません。まるで聞こえていないようです。

「本当だ。牛だね。きっと今日の晩ごはんのために神さまが与えてくださったんだよ。今日はスキヤキにしようか」

「だめよ。いつものに決まってるじゃない」

「ねえ、ママ。うしなんていないよ?」

 まぁくんの声は誰にもとどきません。 まぁくんは鏡を見ましたが、まぁくんは牛にはなっていませんでした。

 しかし、まぁくんを見ながら恐ろしい笑みを浮かべてママは言いました。

「おいしそうな牛ねぇ」

 そしてその夜、まぁくんはソーセージになりました。

 まぁくんを食べながらママは言いました。

「今度はもっと素直そうな子を選びましょうよ」

「そうだねぇ」

「四丁目の山田さんとこのけんちゃんなんかどうかしら」

「いい子に育ちそうだね」

「時期もいいわよ。ちょうど十ヶ月くらいだったはず」

「よし。あしたは用があるからあさってにしよう」

「はあ…五年も育てたのにまぁくんなんか生意気にしからならなかったわ。その前もよ。けんちゃんはうまくいくかしら」

「なぁに。うまくいかなかったらまたこうすればいいことさ」

「そうね。あぁ、あさってが楽しみだわ」

 そういってパパとママは笑いました。


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