Twitter300字SS「それが飾りだったとしても」

2017/03/04 21:00 □ 短編・ショートショート

Twitter300字SS お題「飾る」

ジャンル : オリジナル。



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『それが飾りだったとしても』



 それは、祖父が亡くなった翌年からだった。

 命日から数日のその日、祖母は着飾って出かけ、小さな薔薇の花束を手に帰ってくる。

 どうしたのかと尋ねても照れ笑うだけ。


 きっといい人が出来たのだろう。

 ここ数年は仏壇の祖父に興味をなくしたように、命日に経もあげなくなった。

 皆は複雑ながら見守ることにしたようだ。許せなかったのは思春期真っ只中の私だけ。



 だからその日、出かけた祖母の後をこっそり追いかけた。



 辿り着いた場所には――



「だって嫌じゃない。なんでこの人の死んだ日を基準にしなきゃいけないの」



 秘密を覗いた孫へ、言い訳するようにそう言って。



「誕生日おめでとう…おじいさん」



 真紅の花で飾り立てた墓石の前で、祖母が笑った。


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ちょっと毛色の違うものになりました。


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