Twitter300字SS お題「渡す」
ジャンル : オリジナル。
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『三途の川の向こう側』
気がつけば水面を眺めていた。
多分、三途の川というやつだ。
いつの間にか握りしめていた物は、しばらくしてやっと渡し賃だと理解した。
ろくな死に方ではなかったはずだが、無条件に支給されるものらしい。
しかし肝心の渡し舟が。舟はあっても船頭がいない。
石でも積んで待てばいいのか?
ふと顔を上げると、遠い向こう岸に懐かしい顔が見えた。
「親父…」
去年死んだその人が手を振っていた。
「あ、お客さんで?」
「おぉ、頼む」
六文銭を手渡そうとした瞬間。
つい最近聞いた覚えのある音がした。
手元にあった金属が何かに弾かれ、船頭が倒れる。
「まだ渡らせるわけにはいかない」
ライフルを手に、
「ちゃんと仇を討ってもらわないとな」
組長が笑う。
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なんか怖い話になったな…?
彼は多分仇討ちが成功するまで、渡らせてもらえません…
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