Twitter300字SS お題「包む」
ジャンル : オリジナル
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『For you』
「何コレ?」
約束のカフェに現れた恋人は笑顔でテーブルにキャベツ大の何かを置いた。
茶色と橙の間くらいの風呂敷包み。
「開けていい?」
「ん」
結び目を解くと、生成りの風呂敷。
「……」
予想を裏切らずその下にもさらに重なった布を無言で剥がしていく。
風呂敷はハンカチになり、色はどんどん白くなる。
付き合って八年。未だによくわからん奴。
ハンカチがティッシュになり汚らしく思えてきた頃、
出てきたそれは──小さく折られた一万円札?
「誕生日オメデトウ。玉ねぎ食いたくなったろ? それで焼肉行こう」
そそくさと出口に向かう耳が赤い。
包みきれなかった照れ顔を想像して、私は笑う。
「して彼氏殿。諭吉の中身は薬指にしたらいいのかね?」
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玉ねぎ風、もしくは全部緑にしてキャベツ風はいつか誰かにやってみたい包装方法である。
話は甘い系に逃げた感ある。
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