「2016年11月」の記事

『平和な一日』




「なんなんですか？　それ」



　今朝、事務所に届いた差出人の記載も消印もない封書には、一枚の紙が入っていた。



「絵だよ」



　酷く面倒くさそうに上司が答える。



「それは見たらわかりますけど」



　歪んだ空間が中央付近の球体に吸い込まれているような、不気味な絵。


「はい」


　唐突に渡されたのは銀色の筒。アルミホイル？



「アナモルフォーシスって知ってる？」



　上司はため息をつきながら指をさし、私はそれに従って絵の球体部分に筒を立てた。







「あかりちゃん、俺たちは何も見てない。いいね？」


「…はい」




　かくして、金にならない面倒ごとは灰になった。

　何も見なかった私たちの知ったことではないけれど、

　銀柱に現れた地図の場所には一体何があったのだろうか。

—–

ちょっと前に色々と潜像について調べてたのをネタにしてみました。

彼らは今日も平和です。

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