Twitter300字SS「三途の川の向こう側」

2017/07/01 22:46 □ 短編・ショートショート

Twitter300字SS お題「渡す」

ジャンル : オリジナル。



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『三途の川の向こう側』


 気がつけば水面を眺めていた。

 多分、三途の川というやつだ。

 いつの間にか握りしめていた物は、しばらくしてやっと渡し賃だと理解した。
 ろくな死に方ではなかったはずだが、無条件に支給されるものらしい。

 しかし肝心の渡し舟が。舟はあっても船頭がいない。
 石でも積んで待てばいいのか?

 ふと顔を上げると、遠い向こう岸に懐かしい顔が見えた。


「親父…」


 去年死んだその人が手を振っていた。


「あ、お客さんで?」

「おぉ、頼む」


 六文銭を手渡そうとした瞬間。


 つい最近聞いた覚えのある音がした。

 手元にあった金属が何かに弾かれ、船頭が倒れる。

 

「まだ渡らせるわけにはいかない」


 ライフルを手に、


「ちゃんと仇を討ってもらわないとな」


 組長が笑う。

 

—–

 

なんか怖い話になったな…?

彼は多分仇討ちが成功するまで、渡らせてもらえません…


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