「テキスト」カテゴリー
今まで書いたショートショート・小説等、文章置き場です。
拙すぎてカテゴリ名を「小説」とするのすらおこがましい気がしたので「テキスト」。
基本的にどんでん返しを目標に書いてたり、書いてなかったり。
高校時代とかに書いたものも結構あるので正直黒歴史ですが、面倒なので開き直って手直しもいいわけもなしです。
いくつかはイベントで無料配布した「夢見るものたち」に収録しています。
投稿が「夢見るものたち」より前の分に関してはほぼ全部学生時代に書いたもの。
ツッコミどころが満載なのは自分でわかってますので、そこは流していただけるとありがたい。
最近のもツッコミどころが多いのは大して変わりませんが、まぁ、まだマシかと。
伏線を意識し始めたのはCANDY ×GAMEシリーズの途中あたり(2005年)から。
そのへんから書くものがガラッと変わった気がします。
Twitter300字SS お題「秋」
ジャンル : オリジナル
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『それぞれの定義』
「なぁ、秋っていつから?」
ため息交じりにマスターが話しかけました。
9月の初め。
今週は台風が来るのもあって天気が悪いからマシですが、
暑いですよね。
夏バテで大変ですよね。
色々な思いを押し殺し、私は淡々と定型句を答えます。
「秋は9月1日に始まり、11月30日に終わります」
なんておおざっぱな区切りでしょう。
自分で呆れていると、隣にいたお局さまが少し遅れて口を開きました。
「秋、北半球、は2018年9月23日日曜日から始まり12月22日日本時間に終わる予定です」
マスターが戸惑った表情で私を手に取りました。
うーん、そうですね。
秋分と冬至の日の間を秋と定義するのはSiriも何か違うと思うの OK,Google!
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実際にやってみたらそう答えられました(´・ω・`)
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Twitter300字SS お題「帰る」
ジャンル : オリジナル
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『父の未練は』
午後十時。
帰宅した私を迎えたのは父の顔だった。
「メシまだだろ?」
食卓には父ご自慢の料理が並べられている。
「…いただきます」
口に入れたそれは随分と懐かしい味に思えた。
「なんでいるの」
亡くなって三ヶ月。遺品も心も整理できてないのに。
遺影と同じ顔で父は笑う。
「色々と未練があったもんでね。用は済んだから帰るよ」
済んだのは、自分の死で憔悴した娘を励ますこと?
「私も連れていって」
縋った幻は私の頭を撫で、
「残念ながら手一杯でね。これ以上荷物は増やせないな」
私の懇願を優しく拒否した。
翌朝手を合わせた遺影はなぜだか少し恥ずかしそうに見えた。
父の部屋から成人向けの本がなくなっていることに気づいたのはずっと後の話。
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娘の励ましはついでやったんかい的なオチです←
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Twitter300字SS お題「空」
ジャンル : オリジナル
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『選択の期限』
晴れ渡った空の青に入道雲の白。
夕焼けの赤に浮かぶ三日月と金星。
時には今にもなにかが降ってきそうな寒々しい曇り空。
丘の上のベンチに腰掛け、美しい空を見上げるのが僕の日課だった。
名も知らぬアーティストが作り上げた色彩。
この空を見られるのは、明日まで。
「綺麗だね、お父さん」
いつの間にか隣に座っていた娘をそっと抱き寄せる。
曾祖父さんが生まれる前、地上に何かが起き、人類は地下に潜った。
空という名の照明も、温度と空気の調整も。
利用してきたエネルギーが尽きるとわかったのは、たった数日前。
どうなっているかもわからない地上に出るか、それとも僕の知る世界とともに穏やかに生を閉じるか。
選択の期限まで、あと十二時間。
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『空を飛ぶ』
いってらっしゃいと手を振って三〇分。
空は快晴。が、どうやら風がよくないらしい。
時折無線機から状況連絡の声が聞こえる。
山のてっぺん、木のない一角。
見つめ続ける私の背に、あなたも行ったらいいのにと、常連のご婦人が笑う。
「世界が変わるよ」
目を開いていられる自信がないから遠慮するけど、それはきっと本当なんだと思う。
「そろそろいけるって」
無線機片手に男性が言う。
スマホ画面の向こう側、標高五八〇m地点でふわりと傘が開いた。
七〇歳の誕生日、父親が空を飛んだ。
地元のパラグライダースクールで、時間にして五分ほどの空の旅。
「こんなにええもんとは思わんかった」
世界は変わっただろうか。
今年の誕生日も予約済みだそうだ。
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『選択の期限』はご想像にお任せしますな終わり方で、『空を飛ぶ』はノンフィクションです。
どちらも自分としては珍しい感じになりました。
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Twitter300字SS お題「遊ぶ」
ジャンル : オリジナル
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『家主のプライド』
『みーかーちゃん。あーそーぼ!』
インターホンから聞こえる幼い声を無視すると、加奈が戸惑った顔でこちらを見る。
「…出ないの?」
「うん」
「え、でも」
次第にチャイムの間隔が短くなる。
「越してからずっとなんだよ。最初は家間違えてんだと思ったんだけどさ」
『みかちゃーん!いるんでしょ?』
その声を境にチャイムは鉄のドアを叩く音に変わり、加奈の肩が跳ねる。
ドンドンと腹に響く音にため息が漏れた。
「出ると誰もいないんだよね」
所謂ピンポンダッシュだ。
「まったく」
名も知らぬクソガキの悪い遊びは過去5人もの住人を追い出したという。
でも、私は負けない。
「よくやるよね。もう8年だよ8年!」
こんな安い部屋、他にないんだから。
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心霊現象 VS それに気づかない守銭奴 ファイッ 的なヤツです。
なんかキレ悪いけど!!
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Twitter300字SS お題「新しい」
ジャンル : オリジナルと二次創作?
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『新しい生活』
暖かい光の中で目を覚ます。
身を起こして、ベッドの上で、適当に髪を整える。
使おうとした新しいシュシュについたままのタグを切り落とす。
新しい制服に袖を通し、靴下を引き上げる。
新しい鞄の中身は新しい教科書とペンケース、学生証に定期券。
「オッケー、忘れ物なし」
引っ越したばかりの新しい家。
今日から私は転校生。何もかも新しくして、新しい生活が始まる。
リビングで用意されたトーストを平らげる。
「いってらっしゃい。しっかりね」
玄関で新しい靴を履く私を、揃って見送る。
「はーい」
ふと目をやった玄関の鏡の中で、新しい家族に向かって、自分の新しい顔が笑う。
新しい名前は「鈴木なお」。
今回の任務の失敗は、死を意味していた。
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『Real HERO』
激しい戦いの末、力尽きようとしていた。
新しい兵器を手に入れたあいつは手強くて、不意打ちを食らった僕は全身ボロボロだ。
どうにかしようとしたけど、初撃が致命的で大したダメージは与えられなかった。
もう目も見えないし、耳もろくに聞こえない。
──みんな、止められなくてごめん。
岩陰に倒れ込む。
意識が朦朧とし始めた頃、傍らで気配を感じた。
とどめを刺しに来たのだ。
この因縁もついに終わる。
抵抗するだけの力は出ない。
その手は僕を起こし、首に触れる。
そして僕は、自分の頭が落ちる音を聞いた。
聞き慣れた声が意識を引き戻す。
「しっかりして! 新しい顔よ!」
その後無事勝利したヒーローは、現在、顔のスペアの常備を検討している。
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久々に二本……なんですが、なんやこれ……?
一本目は何の任務なんでしょうねぇ…
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