「テキスト」カテゴリー
今まで書いたショートショート・小説等、文章置き場です。
拙すぎてカテゴリ名を「小説」とするのすらおこがましい気がしたので「テキスト」。
基本的にどんでん返しを目標に書いてたり、書いてなかったり。
高校時代とかに書いたものも結構あるので正直黒歴史ですが、面倒なので開き直って手直しもいいわけもなしです。
いくつかはイベントで無料配布した「夢見るものたち」に収録しています。
投稿が「夢見るものたち」より前の分に関してはほぼ全部学生時代に書いたもの。
ツッコミどころが満載なのは自分でわかってますので、そこは流していただけるとありがたい。
最近のもツッコミどころが多いのは大して変わりませんが、まぁ、まだマシかと。
伏線を意識し始めたのはCANDY ×GAMEシリーズの途中あたり(2005年)から。
そのへんから書くものがガラッと変わった気がします。
Twitter300字SS お題「夜」
ジャンル : オリジナル。
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『夫人と愚痴とカクテルと』
「冗談じゃないわよ!」
薄暗いカウンターで、BGMのオペラに怒鳴り声が混ざる。
「お客さん、飲みすぎですよ」
「うるさい! 夜の街なら私の味方してくれると思ったのに」
さっきまで相手をしていた常連はどこかに消えている。
「みんな私が嫌いなのよ。さっきの男だって最初は興味津々だったのに話し始めたら急に嫌そうな顔して」
仕方ないから聞いてやるか。
「濡れ衣着せられて悪者扱いだしさ。誘拐された娘なんて、助けに行かせた奴と一緒に逃げたのよ! 私がそんなに怖い!?」
その声は段々と涙声に。えらく不穏な話だが。
「濡れ衣ってどんな?」
「世界征服」
「……失礼、どちら様で?」
「夜の女王よ」
差し出した注文の品は自虐の『パパゲーナ』。
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元ネタ?はモーツァルトのオペラ『魔笛』。
夜の女王は世界征服を企む悪役さんらしいです。
あらすじしか知らんのだけどな!!
『パパゲーナ』はチョコレートリキュールを使ったカクテルだそうで。
チョコレートリキュールの代表格の商品名が『モーツァルト』なんですが、調べて へーへー ってなった。
ということで、やっつけの無理矢理参加失礼しましたぁ!!
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Twitter300字SS お題「音」
ジャンル : オリジナル。
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『となりの騒音』
「あら、佐藤さん。どうかなさいました?」
ドアを開けると数日前引っ越してきた隣人が顔を歪めていた。
「壁叩いてるでしょう。うるさいんですよ」
「え?何のことですか?」
「とぼけないでくださいよ! 毎晩毎晩! 寝られないんですよ! いくら大家の娘だからって」
「……よくわかりませんけど、上がっていかれます? 見てみるといいわ」
昭和時代みたいな古びた和室に招き入れると、男は絶句した。
「うちの部屋のそちら側、押し入れなんですよね」
男は慌てて、失礼しました、と頭を下げて帰っていった。
「難しいものね、防音って」
静かにふすまを開ける。その奥の扉も。
「あなたの次の人にも怒られたわ。暴れないでよ。うるさいの嫌いなんでしょう?」
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もっと綺麗な話が書きたかったんだが、なんか全然思いつかなかった。
なんでこうなった……?
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Twitter300字SS お題「お盆」
ジャンル : オリジナル。
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『ふたりの帰省』
おがらから立ち上った煙が目にしみる。
「…また来年。父さん、母さん」
亡くなって二回目のお盆が終わろうとしている。
視界が歪むのは煙のせいだと、胸に宿った寂しさには気づかないふりをする。
明日は私も家に帰らないといけない。
「やっぱ実家はいいねぇ」
送り火を終えてリビングに戻ると、シャツの胸元を引っ張りながらテレビを見ている兄と目が合った。
実家に戻ってきてもなんもしなかったな、この人。
「お兄ちゃんは帰らないの?」
「まだしばらくはいるつもり」
「…そう」
「まだまだ、お前が心配だからね」
からかうように笑った兄の腕がふわりと私を包む。
「成仏するのは、花嫁姿見届けてからかな」
半透明の腕は、どこかあたたかい気がした。
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状況が状況なので今回は一本だけ。しかも出来たのつい30分前でした。
結構悲惨な設定になってしまいましたが、後味は悪くないかと…!(汗
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SS企画《俺のグルメFESTIVAL》
お題 「これが! 俺の! グルメだ!!」 を詰め込んだ、“おいしそう!”な飲食風景
ジャンル : オリジナル
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『ある夜の風景』
冷蔵庫から取り出したものをちゃぶ台に置き、父さんはカップ酒に口を付けた。
皿の上にはマグロの刺身。
チンしたご飯の上に半分ほど無造作に置き、醤油とごま油とチューブのおろしにんにく。
最後に卵を落として口一杯に頬張る。
暗い部屋の片隅で僕はじっとそれを眺めていた。
ほしがれば父さんは僕を叩くから。
ご飯を平らげ、残りの刺身をつついていた父さんは、少しすると赤い顔でごろりと横になり動かなくなった。
僕は起こさないようそろりとちゃぶ台に近づく。
皿まであと少しのところで ――首を掴まれた。
「お父さん! またこんなところで寝て! ミィが狙ってたじゃないの!」
ありつけなかった悲しみに、ただ、にゃあと気の抜けた声だけが漏れた。
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はい、どうしてもオチ重視な桂瀬です。
参加したかったから頑張ってみたけれど……なんかおっさんが掻っ込んでるだけでグルメな話じゃない気がするな(汗
マグロユッケ丼食いてぇ。
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Twitter300字SS お題「願い」
ジャンル : オリジナル。ひとつは昔書いた掌編の番外編?
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『神様の複雑』
君の願いを叶えてあげる。
全知全能のこの僕が。
髪飾りが欲しい?
ダメ。僕は未来も見えるんだ。
そんなの三日後に君のパパが叶えてくれるから。
お菓子屋さんになりたい?
ダメダメ。
それは十五年後、君が勝手に叶えちゃうんだ。
は? 水が飲みたい?
ほら、あそこに水飲み場があるよ。
結局なんにも叶えないんじゃないかって?
だってくだらないことばっかだし。
僕がその気になれば世界だって滅ぼせるのに。
大人しくしてるのを褒めてほしい…よ?
突然頭に乗っかったのは少女の手。
じゃあ、 私が褒めてあげるね、 と。
僕ともあろう者が、こんな幼子に願いを叶えてもらうとは。
ふてくされる僕に、無邪気に笑ってみせた少女の手のひらは、随分と心地よかった。
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『門番の苦悩』
「ここですか、例の門は」
訪ねてきたのは一人の男。
その声は穏やかで、けれど生気がない。
よく来るタイプの死にたがり。
男は門を見る。
向こう側へ行けるのは死んだ者だけ。
そのまなざしは遠く。
――面倒だ。
勝手にしろとナイフを投げる。
ほんの少しの躊躇の後、男は胸を刺し貫いた。
「……死ねない?」
「だろうな」
「誰です?」
いつの間にか戻ってきていた相棒が、自分の頭を小脇に抱えて尋ねる。
「お前と一緒」
「あぁ、早く死ねたらいいですね、お互い」
ここに来て以来毎日死に方を聞いてくる少年。
いい加減消えろとうっかり願ってしまったら、なんと増えた。
ここはあの世とこの世を繋ぐ門。
この糞ゲートは絶対に、人の願いを叶えることはない。
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頑張ったけど今回はちょっと出来が悪い感じ。悔しい……
先に出来たのは門番のほう。あまりにもネタが思いつかないので、懐かしのGatekeeperをひっぱりだしてみたら、変なのが増殖してしまったとさ。
ということで、オフライン企画、300字SSポストカードラリー もよろしくお願いします! (華麗なる宣伝
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