「テキスト」カテゴリー
今まで書いたショートショート・小説等、文章置き場です。
拙すぎてカテゴリ名を「小説」とするのすらおこがましい気がしたので「テキスト」。
基本的にどんでん返しを目標に書いてたり、書いてなかったり。
高校時代とかに書いたものも結構あるので正直黒歴史ですが、面倒なので開き直って手直しもいいわけもなしです。
いくつかはイベントで無料配布した「夢見るものたち」に収録しています。
投稿が「夢見るものたち」より前の分に関してはほぼ全部学生時代に書いたもの。
ツッコミどころが満載なのは自分でわかってますので、そこは流していただけるとありがたい。
最近のもツッコミどころが多いのは大して変わりませんが、まぁ、まだマシかと。
伏線を意識し始めたのはCANDY ×GAMEシリーズの途中あたり(2005年)から。
そのへんから書くものがガラッと変わった気がします。
Twitter300字SS お題「人形」
ジャンル : オリジナル。ホラー?
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『一筋の希望』
薄暗い部屋に通された。
札やしめ縄のようなもので厳重に包囲された祭壇に鎮座するのは、一体の日本人形。
市松模様の着物にかかるまっすぐな黒髪とガラス製の目が鈍く光を反射する。
童女の微笑みに、ぞわり、と何かが背を駆け抜けていく。
何人もの専門家が除霊を試みたが駄目だったと。
世間でいう「呪いの人形」の定義をおよそ網羅したその人形の圧力は、今まで怪異の存在を信じなかったことを恥じるほどに、強烈だった。
本当に、大丈夫なのか。
こんなものを、連れ帰って。
おののく傍らで弟が笑う。
「やっと見つけた」
愛おしげに頭を撫でる姿が切ない。
何も言うまい。
失ったものを取り戻すためにここまで来たのだ。
「…上手くいくといいな、植毛」
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「人形逃げてー!」案件。
波平さんに再出演してもらいました。
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Twitter300字SS お題「試す」
ジャンル : オリジナル。
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『試供品な関係』
「付き合ってください! お試しでいいので!」
放課後校舎の裏。定番のシチュエーション。
必死さに若干引いたであろう先輩は、それでもくすりと笑いながら、
「まぁ…お試しでいいなら」
怖くて上げられない私の頭に優しく手を置いた。
「おはよう」
関係は順当に進み、夕食を共にするようになって一週間。
一晩の別れの後、学校で再会する彼は、
「今日も行っていい?」
優しい笑顔で、私を追い詰めていく。
――なんで。
アマニチン
テトロドトキシン
アコニチン
試した毒はすべて効かなかった。
憔悴する暗殺者の様子に、標的は嘲う。
組織で量産した「お試し品」はまだまだある。
毎日殺されるそれらと本物が別だということに、彼女が気づくのはいつだろうか?
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締まり悪いなぁと思いながら。
自分にしてはちょっと中二設定ですな。
しかし毒物調べてると時間経つよね←
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Twitter300字SS お題「贈り物」
ジャンル : オリジナル。
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『下手くそな包装』
「どっちだっけ」
「違う違う」
「よく先輩に怒られたなぁ」
小さな部屋には三人の社員。
傍らに積まれた箱の中には小さめの瓶が三つずつ。
歳暮時期の真っ只中、パートさんたちにお願いすれば手早くきれいに仕上げてくれるのはわかっていた。
けど。
「できた」
「おっ、悪くないね」
「ハイハイ、次」
時折ため息を漏らしながら、不慣れな手つきで贈答品を仕上げていく。
『そうそう』
きっと今、ここにいる全員が幻聴を聞いている。
『パートさんばっかに任せてないであんたらもたまにはやんなさい』
記憶の中の彼女の声で。
「遺言だったらしいよ」
見上げた愛社精神に苦笑する。
キャラメル包装は左前。
粗供養の文字の下には先輩と同じ苗字が印刷されていた。
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うーーーーん、オチがない上に暗い……orz
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Twitter300字SS お題「酒」
ジャンル : オリジナル。
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『紳士の条件』
店には若い女性客がふたり。
少し離れて座ると
「マスター、何か甘いお酒を」
眉をひそめた髭面。
「彼女たちに」
数分後、僕にはいつものが、ふたりにはオレンジの液体が差し出された。
「あちらのお客様からです」
驚いた彼女たちがこちらを見る。
笑顔で手を振ると、ふたりは顔を見合わせた。
歓迎したいだけ。下心なんてないよ。紳士だからね。
そうこうしているうちに、奥から見知った顔が現れた。
「お疲れ」
「…来るなって言ったでしょ」
「紳士たるもの女性をひとりで帰らせるなんて」
「ハイハイ心がけは立派だけどね」
待ち人は苦笑して僕の頭を撫でた。
「うちの子がお邪魔しましたー」
頭を下げて、母と僕は店を出る。
三人は笑顔で手を振ってくれた。
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うーーーーんなんか上手くいかなかったーーーーー
もう一本何か書きたかったけど断念。
ちなみに、彼が飲んでいたのは牛乳です。
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Twitter300字SS お題「雲」
ジャンル : オリジナル。
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『追憶』
「にゅうどうってなに?」
「お坊さんのことだよ」
教育番組で積乱雲が出てきて、そんなやりとりをしたのを覚えている。
翌日、公園の林の中で母の手を引いた。
「おかあさん、あれもにゅうどうぐも?」
母が空を見上げる。
木々の間から覗く空には細かな雲が敷き詰められていた。
「ううん、あれはうろこ雲。明日は雨かもしれないね」
「…そっかぁ」
もう秋だねぇ、と頭をなでられたあの感触が、焼香の煙の中に蘇る。
──そう、あのとき、母には見えていなかった。
葬儀を終え、天涯孤独となった夜、再び現れたそれは私の前で恭しく膝をついた。
「姫様、お迎えに上がりました」
張り巡らされた蜘蛛の糸。
禿げ頭の化け物は、下卑た顔で私の運命を絡め取る。
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『平和な世界』
飛行機雲が青空にいくつもの線を描く。
人工のそれが無数にある以外は雲ひとつないいい天気だ。
駅まで三十分。真夏の午後一時には辛い。
タクシーもバスも残っているのは都市部だけで電車すら本数が限られている。
まったく不便だ。
「どした山田。車壊れた?」
「いや…」
「あぁハイハイ。乗ってく?」
通りすがりの友人が短い会話で状況を察し、自らの背を指さした。
「すまん」
負われて乗ると、マシンはマッハで空を駆ける。
後悔と反省。
僕は昨日、嘘をついた。
安価で手軽な空の路が一般化され、社会は一変した。
平和な世界を望んだ開発者はその形にちなみ 「よいこ」 だけ搭乗可能という制限機能を搭載した。
筋斗雲。
世界はこの製品に支配されている。
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『追憶』は入道蜘蛛っていうオチでもっとギャグっぽくなるはずが出来上がってみれば不穏ですね? 蜘蛛坊主が彼女に何をさせるつもりかは不明。
『平和な世界』SF風になりました。筋斗雲は表記も設定も西遊記じゃなくドラゴンボールです。西遊記だとなんか宙返りで乗らないといけないらしいですね…
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