「テキスト」カテゴリー
今まで書いたショートショート・小説等、文章置き場です。
拙すぎてカテゴリ名を「小説」とするのすらおこがましい気がしたので「テキスト」。
基本的にどんでん返しを目標に書いてたり、書いてなかったり。
高校時代とかに書いたものも結構あるので正直黒歴史ですが、面倒なので開き直って手直しもいいわけもなしです。
いくつかはイベントで無料配布した「夢見るものたち」に収録しています。
投稿が「夢見るものたち」より前の分に関してはほぼ全部学生時代に書いたもの。
ツッコミどころが満載なのは自分でわかってますので、そこは流していただけるとありがたい。
最近のもツッコミどころが多いのは大して変わりませんが、まぁ、まだマシかと。
伏線を意識し始めたのはCANDY ×GAMEシリーズの途中あたり(2005年)から。
そのへんから書くものがガラッと変わった気がします。
Twitter300字SS お題「休」
ジャンル : オリジナル。ひとつめは二次創作かもしれない。
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『復讐の咆哮』
やった。ついにやった。
屈辱のあの日以来、努力を重ねてきた。
高尾の天狗から下町の怪しい術士にまで頭を下げ、時には弟子入りし、不眠不休で修行に励んできた。
二十余年をかけ、古今東西のあらゆる術を学び、ものにしたそれが今、やっと形になったのだ。
涙さえにじむ。
満月の夜、力が最大になる丑三つ時に忍び込んだ一室。
失敗覚悟で挑んだ術。
光が舞い、思ったよりも簡単に、自分の理想通りに、それは現れた。
これで、敬愛するあの方に恥をかかせたあいつに一泡吹かせることが――
喜んだのは束の間。
私の誤算だ。
屏風から抜け出でた虎が私に向かって吠える。
のど笛をかみ切られる瞬間、憎き小僧の声が聞こえた気がした。
ひとやすみひとやすみ。
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『THE GAME OF LIFE』
なんでこうなった?
スタートラインは同じだったはず。なのに何故。
休日に突然やってきた幼なじみは、近況を話しながら麦茶の入ったグラスをあおった。
それどころではない俺はそれらを渋い顔で聞き流す。
テーブルを挟んだ左右でこうまで差が付くか。
神様を味方に付けたこの男はイージーモードで人生を順調に進んでいた。
対する俺は結婚すらままならず、SNSは炎上するわ内定もらったのはブラック企業だわ…
昔はこうじゃなかった。平凡な家庭は築けると思ってたのに。
「ゲームなら上手くいくのにな」
先にゴールしたほうが自嘲気味に呟く。
「…ただの一回休みだろ」
過労で倒れて休職中の友人に笑ってみせる。
「今の人生ゲームは難しいよ、ホント」
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久々に二本達成!!
『復讐の咆哮』はお題を聞いて何故か最初『一休さん』しか思いつかなかった結果です……誰でしょうかこの人。
『THE GAME OF LIFE』は…人生ゲームをやりながら現実の人生を語る的なやつですが、調べたらなんか…今の人生ゲームすごいんですね…タカラトミーの「獄辛」を想定。ちなみに、所持者は友人のほう。
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Twitter300字SS お題「渡す」
ジャンル : オリジナル。
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『三途の川の向こう側』
気がつけば水面を眺めていた。
多分、三途の川というやつだ。
いつの間にか握りしめていた物は、しばらくしてやっと渡し賃だと理解した。
ろくな死に方ではなかったはずだが、無条件に支給されるものらしい。
しかし肝心の渡し舟が。舟はあっても船頭がいない。
石でも積んで待てばいいのか?
ふと顔を上げると、遠い向こう岸に懐かしい顔が見えた。
「親父…」
去年死んだその人が手を振っていた。
「あ、お客さんで?」
「おぉ、頼む」
六文銭を手渡そうとした瞬間。
つい最近聞いた覚えのある音がした。
手元にあった金属が何かに弾かれ、船頭が倒れる。
「まだ渡らせるわけにはいかない」
ライフルを手に、
「ちゃんと仇を討ってもらわないとな」
組長が笑う。
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なんか怖い話になったな…?
彼は多分仇討ちが成功するまで、渡らせてもらえません…
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Twitter300字SS お題「かさ」
ジャンル : オリジナル。
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『雨の日はいつも』
会社を出ると降りしきる雨。
傘のない俺に、同僚が呆れた顔をする。
「仕方ないな。ほら」
差し出されたのは黒い折り畳み。
「え、いや、お前は?」
「多分迎えが来るから」
「多分って…」
「雨降ると頼みもしないのに来るんだよなぁ」
どこかうんざりした声の終わりに、何かが跳ねる音がした。
「あ、やっぱり」
ぴょこぴょこと駆け寄ってきたのは。
「何…これ」
「ペットの花子」
身をすり寄せる花子を困ったような顔で同僚が撫でる。
一本しかないその足首を掴み、胴体らしき笠を広げる。そこにはぱっちりとした一つ目が。
聞きたいことは色々あるが。
「…付け根はどうなってるんだ」
「さあな」
同僚が手を振る。
「女の子のスカートの中覗くのはダメだろ?」
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なんか網タイツとか履いてそうなこですが、同僚どこで拾ったんですかね。
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Twitter300字SS お題「色」
ジャンル : オリジナル。
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『彼の仲裁』
違う。
湯気の向こうに現れた見慣れない色にためらう。
「冷めないうちに食え」
久々の再会。
居酒屋から親友宅に歩いて帰ったところまではよかった。
にこやかにそれを勧める岡田に、不服を込めた視線を送る。
苦笑する親友とニヤニヤ顔のもう一匹。
いや、この佐藤も親友ではあるのだが。
手を付けるのが悔しくて、ただ手のひらを温める。
関東人佐藤の勝ち誇った顔。
――このどん兵衛はEだ。
昔東西対決で喧嘩したことも知ってるだろうに出すなよ岡田。
「ん? なんか違うな?」
眼鏡を曇らせながら首を傾げた佐藤に岡田が笑う。
「出張だったって言ったろ? ほら、土産」
じゃがポックルをつまみに宴会は再開される。
カップの側面には「H」の文字があった。
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ギリギリ間に合ったー!
食べたことないんですよねぇぇぇぇ北海道版!!
味は関西寄り、色は関東寄りだとか。
思いついた当初は、家主「栗田」くんと関東人「山岡」くんと関西人「海原」くんでしたがさすがにやめましたw
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Twitter300字SS お題「飾る」
ジャンル : オリジナル。
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『それが飾りだったとしても』
それは、祖父が亡くなった翌年からだった。
命日から数日のその日、祖母は着飾って出かけ、小さな薔薇の花束を手に帰ってくる。
どうしたのかと尋ねても照れ笑うだけ。
きっといい人が出来たのだろう。
ここ数年は仏壇の祖父に興味をなくしたように、命日に経もあげなくなった。
皆は複雑ながら見守ることにしたようだ。許せなかったのは思春期真っ只中の私だけ。
だからその日、出かけた祖母の後をこっそり追いかけた。
辿り着いた場所には――
「だって嫌じゃない。なんでこの人の死んだ日を基準にしなきゃいけないの」
秘密を覗いた孫へ、言い訳するようにそう言って。
「誕生日おめでとう…おじいさん」
真紅の花で飾り立てた墓石の前で、祖母が笑った。
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ちょっと毛色の違うものになりました。
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